咳を訴える患者さんに対して、ロイコトリエン受容体拮抗薬であるモンテルカスト(商:シングレア、キプレス)と第二世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬であるレボセチリジン(商:ザイザル)が処方されていました。
※他には、吸入ステロイド、気管支拡張薬、リン酸コデインなどが処方されていました。
今回はこの2つの薬が咳に対して、それぞれどのようなことを期待して処方されているのか調査・検討したいと思います
薬学部では勉強量が多く時間が足りないと感じることが多いでしょう。ゴロはキーワードに強引に意味を与えるので、ハマれば暗記も早いし忘れにくい。だから、勉強時間の短縮に役立つ!!しかし、1つ1つスマホで調べていたら大幅なタイムロスです。そこで、ブログの薬理ゴロを収集して紙ベース(フルカラー)にしました。より効率的に勉強して、別分野の勉強時間や趣味の時間をつくりましょう。Time is money! お金で時間を買ってください。しかも当ブログなら購入前にゴロを確認でき、自分に合っているか否かを試せます。多くのゴロでビビッとフィーリングが合えば、紙ベースをオススメします。
メルカリへのリンクはコチラ【添付文書の効能又は効果では】
シングレアの添付文書の効能又は効果では、「気管支喘息、アレルギー性鼻炎」となっており、ザイザルの添付文書の効能又は効果では、「アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症」と記載があります。
あれ?ザイザルには、咳に関するような効能効果がないのでは?
【咳嗽に関するガイドライン(以下、ガイドライン)では】
ガイドラインでは、ロイコトリエン受容体拮抗薬は咳喘息に特異的に使用し(アトピー咳嗽では無効)、ヒスタミンH1受容体拮抗薬は非特異的鎮咳作用を有するが、アトピー咳嗽で著効例が多いと記載があります。
では咳喘息とアトピー咳嗽は何がちがうのでしょうか?以下にそれぞれの特徴をまとめました。
<咳喘息>
・喘鳴や呼吸困難を伴わない慢性咳嗽が唯一の症状
・喀痰を伴わないことが多いが、湿性咳嗽の場合も少なくない(痰は通常は少量で非膿性)。
・就寝時、深夜あるいは早朝に悪化しやすいが、昼間のみ咳を認める患者も存在する。
・慢性咳嗽の原因疾患として、日本ではほとんどの報告で最も頻度が高い。欧米では、後鼻漏/鼻副鼻腔炎や胃食道逆流症と並んで頻度が高い。
・第一選択薬は吸入ステロイド
・気管支拡張薬が有効
<アトピー咳嗽>
・喘鳴、呼吸困難発作を伴わない乾性咳嗽が3週間以上持続(痰は伴って少量)
・咳嗽は、就寝時、深夜から早朝、起床時に多い
・ヒスタミンH1受容体拮抗薬が第一選択薬、ステロイド薬も有効
・気管支拡張薬やロイコトリエン受容体拮抗薬が無効
調べた範囲で分かる大きな違いは、気管支拡張薬やロイコトリエン受容体拮抗薬が有効や無効かということです。
なお、添付文書では、ザイザルに咳に関する効能効果はありませんでしたが、ガイドライン的には、ヒスタミンH1受容体拮抗薬はしっかり鎮咳作用を有する薬に該当する薬のようです。
【まとめ】
おそらく医師は、モンテルカストは頻度の多い咳喘息に対して処方し、ヒスタミンH1受容体拮抗薬は、咳喘息でも鎮咳作用を期待できるうえアトピー咳嗽の場合でもしっかりと効果を発揮できるよう処方しているのかなと思われます。
なおガイドラインにも以下の文章があるように、咳嗽に対しては先に薬を投与してその効果で診断することを余儀なくされているようです。そのため、何度も受診させるのが患者さんの負担になると考える医師は、効く可能性の高い薬をセットで処方しているのかもしれません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【ガイドラインより抜粋】
病態的に診断した後に咳嗽を軽快させる治療(導入療法)を実施するのが理想であるが、咳嗽診療の現状レベルでは病態的診断は一部の専門施設を除いて不可能であり、国際的にも治療薬の効果を判定して診断する治療的診断を余儀なくされている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
参考:
咳嗽に関するガイドライン第2版
https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0148/G0000523